コルシア書店の仲間たち / 須賀 敦子
2009/12/28
自分の文章力を鍛えたいと思って、文章力の基本という本を読んでいる。
この本の中で、日本語の文章の名手として紹介されていたのが、須賀敦子さんだった。
そのことを知った直後に参加した読書朝食会で、たまたまこの本を紹介されている方がいて、あまりの偶然のタイミングに私は読んでみたいオーラを出していたらしい。
良い本だから一度読んでみると良いと、ご厚意で貸して頂いて、読んでみた。
本に限らず、良い作品に出会うと、鑑賞し終わった後もしばらく余韻が残るということがまれにあるけれど、この本の読後感もそういった感じだった。
貸してくれた方が「文章表現の良さと内容の面白さのバランスが高い次元でとれている」という評価をしていたけど、その評価は正しいように思える。
読む人の想像力をかきたてる、読み手への配慮が行き届いた文章によって、イタリアの風景や印象的な登場人物がエッセイの形式で描かれている。
文章力の基本という本の中で、著者の方が須賀敦子さんのこんな一文を紹介されている。
”<なにかひとりよがりの匂いの抜けきらない「やさしさ」や「思いやり」よりも、他人の立場に身を置いて相手を理解しようとする「想像力」のほうに、私はより魅力をおぼえる。(須賀敦子全集 第2巻 「想像するということ」より)>”
この一文にこめられた、須賀敦子さんの文章に対する姿勢が、作品を通して感じられた。
素晴らしい経験、良い本。また別の作品も読んでみたい。
about me
@remore is a software engineer, weekend contrabassist, and occasional public speaker. Read more