覚悟のすすめ / 金本 知憲
2010/02/28
41歳。
阪神タイガース4番。
4年連続日本人選手年棒トップ。(2010年は4.5億円)
2008年、名球会入り。
そんな超一流の野球選手が覚悟というテーマで書いた本。
裏表紙には「覚悟を決めれば、どんなことでも乗り越えられる」と書かれている。
無名だった学生時代、期待されてたエリートではなかったプロ入り直後、広島カープでの活躍と成長、阪神タイガースへの移籍など、努力して実績を上げてきた野球人生をどのような思いで過ごしてきたかが綴られている。
チームの勝利と、そのための自分の成長に徹底的にこだわる真摯な人間性が、文章から伝わってくる。
仕事をする上で、プロとして持つべき心構えがとても参考になった。グサっときた2つの言葉を書き残しておきたい。
他人の下した評価が正しい
野村克也さんは「他人の下した評価が正しい」と語っている。私も同感だ。自分の評価は自分でするべきではない。人間は決して強くないから、どうしても自分に対する評価は甘くなる。とすれば、やはり他人が下した評価が正しい。
(中略)
もちろん、私も他人の評価が不当に感じられるときはある。とくに誤解にもとづいて批判されたときには腹が立つ。
けれども、私はこう思っている。
「結果を出せば、他人も認めてくれる」(p140)
この「他人の下した評価が正しい」という一節を読んで以来、他人から受けた評価の言葉は必ず手帳にメモするようになった。
なにかを成し遂げようと考えるとき、大切なのはつねに最悪の状況を意識すること
私は広島の広陵高校の出身だが、広陵は野球の名門だから、甲子園を目指してたくさんの新入生が野球部の門を叩く。けれども、半分以上が退部してしまう。その理由は、覚悟が足りないからだ。
やめていく部員の多くは、入部すれば最初からグラウンドに出られて野球の練習ができると思っていたようだ。ところが現実は、まずグラウンドを30周走らされ、ボールなどなかなか持たせてもらえない。当時は先輩から殴られることもしばしばだったし、寮に帰れば掃除や先輩の使い走りが待っている。ほとんどはそれらに幻滅したり、耐えられなくなったりしたことが原因でやめていくわけだ。
だが、私は高校に入る前からそのくらいはやらされるはずだと思っていた。それだけの覚悟をしていた。だから、幻滅したり、耐えられなかったりすることはなかった。(p144)
十分に覚悟を決めておけば、進む道がブレることはない。無意識に覚悟を決めて何となく物事を決断するのではなく、プロとしての道を歩むなら、意識的によく覚悟をしておくことが重要。
覚悟の決め方については、次のように書かれている。
なにかを成し遂げようと考えるとき、大切なのは「どうにもならない状況に陥ったとき、どうするか」「何をできるか」なのである。
だから私は、個人としても、つねに最悪の状況を意識的に想定している。そして、何が起ころうとも、どんな事態に直面しようとも、絶対に気持ちがブレないよう、崩れないよう、前もってそのための準備をし、覚悟を決めておくようにしている。
これも、私がビビリだからできることだ。予期しない事態を迎えたとき、あわてたり、身動きできなくなったりするのが怖いのだ。そういう状況に陥らないために、準備しておくのである。そうすれば、何があってもたいがいのことはクリアできるし、実際にしてきたと自負している。(p145)
つねに最悪の状況を想定することで、気持ちをブレさせずに、物事を成し遂げることができる。僕の知っている限り、仕事のできる人や、段取りの上手な人にはこういう考え方をしている人が多いと思う。これは実践していきたい部分。
その他印象に残った点を自分用にメモ。
- プロとしての心構え
- 「プロであるならケガをするな、プロならばきちんと体調管理をしろ、プロと呼ばれるならたとえケガをしても少々のことでは弱音を吐くな」(p26)
- 傷をなめあうのがチームワークではない。「あいつがやるならおれも」というふうに、全員が刺激しあうことで、戦うチームになるのだ。(p95)
- 「最低五年は一軍で活躍しなければ一人前とは認められない」と私は思っている。(p161)
- 自分の成長、進路の選択
- タイガースに決めたのは、いちばん早くから、しかも熱心に誘っていただいたからだ。あまり大事にしてくれないところよりも、ほんとうに必要としてくれるところのほうがやりがいがあると考えた。(p71)
- 私自身にも危機感があった。このままカープにずっといれば甘えが出てくるだろうし、それまでの二年間、納得できる成績を残していなかったから、新しい環境のもとであらためて再スタートを切りたいという気持ちがあった。(p74)
- そもそも、これまでしてきた努力はこれまでの成果として現れたのであって、これからの成果はこれからの努力によって築いていかなければならない――私はずっとそう考えてきた。(p124)
- 男らしさ
- 男らしさとは外見や雰囲気ではないと思う。それだけでは本質は絶対にわからない。私が男には欠かせないと考えている条件は、「信頼に応える」ことだ。(p130)
- 男だったら、信頼してくれる人のためには、命をかけるくらいの覚悟で報いようとしなければならない。(p131)
about me
@remore is a software engineer, weekend contrabassist, and occasional public speaker. Read more