転職しました。または、フィリピン人エンジニアが僕に教えてくれたこと。
2011/03/02
昨日3/1から転職先(株式会社リクルートのメディアテクノロジーラボ所属)で勤務しています。まずは都内でデジタルコンテンツ関連のWEBサービスを開発する人になります。
僕みたいな一介のエンジニアが転職しましたなんて記事書いても何にもならないのですが、お世話になっている皆さんにお伝えしたいことだったので、記事のタイトルにさせてもらいました。
そして、この記事はもう1つ別の目的で書いています。
懐かしいフィリピンの海。7年前の写真。
前の職場で僕は、10年近くフィリピン人エンジニアと一緒にソフトウェアを開発してきました。フィリピンのトップ校を出た優秀なエンジニアと仕事ができた経験はそれだけでも宝物だったけど、一緒に働いて初めて知ったフィリピンや日本の国の姿もありました。
今日はその話を3つの話にまとめて書いてみたいと思います。10年間働いて、わかったことは3つだけかよ!っていうツッコミも受け付けますが、これだけじゃもちろんないですよ:)
今一番頭に残っていること。忘れたくないことをどうしても書いておきたくて記事にしてみます。
フィリピンは気温だけじゃなく人もあったかい
セブ島とかのリゾートや観光でフィリピンに行ったことのある人ならわかると思いますが、フィリピンは暖かい気候の国です。雨季が少しあるほかは年中夏のような暖かさ。
そんな暖かい気候もさることながら、フィリピンの人はもっとあったかい。
例えば家で料理していて塩が足りなくなったら、隣の家の人にもらいに行くのが常識。他人ともすぐに打ち解けてつながることができます。実際に職場のデスクの上においてあるホッチキスを無言で使われた時は驚いたけど、それもアリとするような文化。お菓子も必ず友達とシェアしますしね。
フィリピン人にはお酒を飲まない人が多いのだけど、お酒がなくても人とこんなに仲良くなるんだな、ということにも興味が湧いたし純粋に驚きました。お昼ご飯の時もコーラやスプライトを欠かさない人が多い事は最後まで理解できなかったですけどね。写真は現地で食べたランチ。
日本は産業が発展していていいよね
ある日、申し訳なさそうにこんなことを聞いてきた同僚のエンジニアがいました。「Andoroidをポーティングしてみたいんだけど、マイコンボードとかって買えたりしないですかね・・」。彼には秋葉原行ったらいろいろ売ってるよ、こういうキーワードとかで検索してみて、って教えてあげました。
彼はそもそもマイコンボードとかは企業が大量購入しないと買えないものだと思ってたらしく、さらに秋葉原といえばアニメとゲームの街だと思ってたらしく、その話を聞いてたいそう驚いて感動していたんだけど、その中で彼が話していた「日本は産業が発展していてうらやましい」という言葉が凄く印象に残ってます。
フィリピンは経済力が低いだけじゃなくて自国に産業が育ってないから、いろいろなものを買う機会も限られるんです、と話していました。例えば日本だと自動車産業が発展していて、車の部品の入手もとても簡単ですよね(国産メーカであれば)。海外で同じ部品を手に入れようとしても、当然ながら同じ状況じゃないわけです。
例えば上の写真はグリーンヒルズっていう大きなマーケットの様子だけど、ここでは洋服から電子機器まで色々なブランドの模倣品が数多く置いてあったりします。模倣品を簡単に見つけることはできても、本当の専門店を見つけることは難しい感じ。
日本に住んでいることのメリットを考えたときに、この産業が発展している点は強調してよい点だと思いました。いろんなものが手に入りやすい環境に僕らはいるんですよね。生まれたときからそれが普通だから気づいていないだけで。そしてこの事は、仕事でも勉強でも、何かを始めようとするときの敷居が低くなるっていう点で大きなメリットです。
車の部品だけじゃなくて、恵まれた情報通信インフラだとか、食事や医療の質とかだってそう。こういう視点で自分の国を捉えて、恵まれた環境を使い切ることを考えることは、日本での生活を最大限楽しむコツになるような気がします。
日本人は何で英語ができないんだろうね
フィリピンでは英語の公用語率が80%あって、アジアの中では不自由なく英語を使える方の国の一つなんだけど、そんな話の流れでフィリピンの学校教育について話をしていた時のこと。
小学校から英語の教科書を使って学校教育を受けるという話を聞いて、すごいねーと話していたんですが、「だってタガログ語で書かれた教材自体が無いんだもん(笑)」という話を聞いて凄い納得してしまいました。
産業が発展していない話ともつながるんだけど、フィリピンは学を修めていくには英語を使う以外に道がない国なんですね。だから、逆にフィリピンの母国語であるタガログ語だと全てを表現できないという現象さえ発生しているそうです。例えば、数学の指数関数の曲線(an exponential curve)なんかは、タガログ語だと表現できないから英語を使わざるを得ないんだとか(※注 実際はタガログ語があるのかも、でも知らないな、普通知らないと思うよと彼らは言っていました)。彼らは英語が上手な代わりに、母国語の教育を犠牲にしているという見方もできます。
母国語の学習を捨てて英語を強化するのが良いのかと言われると、そうは思いません。少なくとも今の日本に関して言えば、日本人が国語を勉強することは、下手に英語を身につけることよりもよっぽどそれぞれの人生にとってプラスになると思う。
ただ、せっかく教材が用意されていて英語を義務教育で6年間学んでいるのだから、その力を最大限活かせるようにできたらいいのにとは漠然と思ったりします。
Maraming Maraming Salamat po
同僚のみんなからもらったメッセージカードやフィリピンからのお土産の一部の写真を最後に。
まとまりなく色々と書いてきたけど、まとめられるほど頭の中が整理されていなくてそうなったような感じです。簡単には整理がつかないくらい濃い10年間を、前職で過ごさせてもらったし、この先になってわかってくることも多分あるんだろうな。ベンチャー企業の中で働いていて学んだこととか、本当は他にも沢山書きたいことがあるのだけど、それはまたおいおい書いていくことにします。
前職でお世話になった皆さん、本当にありがとうございました!
about me
@remore is a software engineer, weekend contrabassist, and occasional public speaker. Read more