有給消化中にRubyConf Indiaに参加してきました
2018/02/19
勤務先のリクルートホールディングス社を2月末で退職することになりました。このおかげで発生した次の仕事を始めるまでの有給消化期間の使い途として、家族旅行の予定をいくつか組んだり溜まっていた書類の整理や確定申告などの雑務を行うことにしましたが、予定表を見るとまだ工夫すれば1週間くらいの空きを作ることができそうな状況でした。
それで何をしようかと年末から考えていたところに、RubyConf IndiaのCFPが通過したという知らせが1月中旬くらいに届いたので、この機会にカンファレンスを訪れつつインドを1週間くらい旅してくる計画がすぐに頭に浮かびました。妻にこれを相談してみると、インド行きにあわせて妻が子供を連れて妻の実家に帰省することで対応が可能という大変心強い回答と支援を得ることができたので、CFP通過の知らせが届いてから2週間くらいで飛行機・宿・訪問先の手配など全て済ませて全8日間の計画でインドを旅してくることになりました。
このブログでは、この旅の中でTech関係の部分の記録のみ抜き出した内容を書き出します。ちなみに完全に自己満ですが、旅の中でもっとも訪れて良かったと感じたのはジャイプルのNahargarh Fortの夕暮れとバラナシの早朝のガンジス川の散歩でした。
RubyConf India
バンガロールで開催された今年のRubyConf Indiaは今年で第9回を迎える国際Ruby Conferenceで、今回はホテルの1ホールを2日間貸し切る形で開催されました。どうでもいいですが会場BGMはKaya ProjectのWalking Throughがずっと流れていて居心地良い感じの会場運営がされていました。会場で色んな方から話を聞いた限りでは、参加者の大多数がインド人またはインド在住の方な様子のカンファレンスで、2日間の日程の間、結局日本人には一人も会うことはありませんでした。
当日のトークの内容は多分ざっくりは公式サイトのプログラム一覧見てもらうのが一番正確かつ情報量多いかなと思うんですが、個人的には2日朝の@_svs_のKeynoteがとても良かったです(ToDo: 動画が公開されたらリンクを張る)。カンファレンスに参加できたのが久しぶりだったせいも多分にありそうですが、LTもバリエーション豊富で面白かったです。mrubyとenzi、BioRuby、SciRuby(@Shekharrajakによるdaru-viewの紹介)のあたりが特に興味を惹かれました。
TwitterのTLを眺めていると#rubyfriendsタグがあまり流れてこないことに気づき、参加者同士で話をしているとそもそもタグの存在自体を知らないという方も一定数いらっしゃったみたいなので、当日Talkの前座で#rubyfriendsタグについて紹介をしつつ、アイスブレイク代わりに会場のみなさんとSelfieを撮れたのは良い思い出です。(自撮り自体を普段あまりしないため、会場全体を収めることには失敗しました)
#rubyfriends #RubyConfIndia #RCI18 pic.twitter.com/pJ0dkMabAq
— Kei Sawada (@remore) 2018年2月10日
今回話してきたこと
“Prototyping Kubernetes CRI(Container Runtime Interface) With Ruby and gRPC”と題してKubernetes周りの最近の近況や内部構造の一部に少しだけ触れつつ、Rubyを使ってコンテナ周りの世界で何ができるのか探索してみる、といったような趣旨のお話をしてきました。TalkのDescription、スライド資料、デモ用に作成したリポジトリについてはそれぞれ然るべき場所に上がっています。
去年の秋くらいから少しずつKubernetes周りを触り始めていて、これを総括するマイルストーンとしてちょうど良いと考えて勢いで1年以上ぶりに提出したCFPがAcceptされたのが今回のTalkでした。github.com/kubernetesやgithub.com/kubernetes-incubatorを見ると分かる通りKubernetesの主要なツール群はGoで書かれているケースが圧倒的に多いという状況において、急にRubyのカンファレンスでKubernetesの話をし始めてコイツ頭大丈夫か・・と思われてもおかしくない内容でもあったので、このTalkの後にインドのRubyistからは例えばどういう反応が得られるか?というあたりは地味に興味のあった点でした。結果としてはTalkの最中の質疑応答やTalkの後のカジュアルな会話で大変多くの方に話しかけて頂き、少なくとも直接お話できた方に関しては興味深く話を聞けたという方が多かったようなので一安心しました。
Hackerspace Mumbai
Hackerspace Mumbaiの人から2月のmeetupでRubyに関係するmeetupを開きたいんだけどと相談を受けた話が面白かったのでその部分についても記録を残しておこう思います。声をかけてもらったのはインドに到着した初日だったのですが、このHackerspace Mumbaiの中の人と会話をしたところ、今回僕が元々ムンバイを訪れる予定だった日程にあわせて次のMeetupを開催するよう調整するのでぜひTalkしていってよ、とお誘いを頂いたので、中々ない機会だったのでお邪魔してみることにしました。
会場はMicrosoft Mumbaiのオフィスでしたが、最近できたばかりだと思うんですが中はとてもキレイでした。僕が乗る予定だった飛行機が2時間以上遅延した関係で当日会場への到着がかなり遅れてしまい、大半の人が帰ってしまった後ではありましたが、ありがたいことに少数ですが有志の方がまだ残っていてくださり、残った方々の前でRubyConfIndiaでのTalkと同じお話をさせてもらいました。残った方々が少数だった分RubyConfIndia以上に参加者の方々のバックグラウンドや実際に抱えている課題などの少し込み入った話まで含めて会話することができたのが良かったです。
Feb'18 #mumtechup : @remore giving an insightful talk on #ruby as well about @kubernetesio & #CRI-O using @grpcio and #ruby pic.twitter.com/40X76kXqK1
— Hackerspace Mumbai (@hackmum) 2018年2月18日
Openなコミュニティでのつながり
最終的に現職にはちょうど7年間勤めた計算になるのですが、振り返ると7年前はRubyを1行も書いたことがない状態だったし、そんな自分が7年後にカンファレンスに参加して現地コミュニティでTalkなどしているということを考えると、面白い謎な道に迷い込んだなあと思います。家でこの7年間にもらったカンファレンスTシャツやノベルティなど整理していたら凄い思い出と情報の洪水みたいな感じになってしまい収拾がつかなくなったのでその辺は割愛しますが、この面白い謎な道が出来上がったのは、所属や立場など問わず澤田と関係してくださっている全ての人のおかげであり、そこで関係させてもらった全ての人にこの場を借りてお礼を伝えたいと思います。
例えば今回の面白い謎な展開の一つであるHackerspace Mumbaiに立ち寄ったことも、オープンソースやOpenなコミュニティという要素があったから発生したものでした。Hackerspace Mumbaiのオーガナイザーの一人であるAugustineからは、「日本からももっとオープンソース界隈の人にムンバイに来てほしいと思ってるので、お知り合いの方でインドに来る人がいればぜひHackerspace Mumbaiに立ち寄っていってください。オープンソースを志す方のお立ち寄りをいつでも歓迎します」(意訳)とメッセージをもらっています。個人や組織にとってのOpenであることの意義や重要性は日に日に高まっているように感じていますが、これからもOpenであろうとすることに対する矜持を持ち続けていきたいと感じさせる出来事でした。
話がまとまらないのでこの辺で筆を置くつもりですが、最後に蛇足を1つだけ。RubyConfIndiaオーガナイザーの@gautamregeの話によると今年は合計で82件のCFP応募があったとのこと。この中から10件のTalkが採択されたので、通過率は約8分の1の計算になります。どのカンファレンスもそうであるようにRubyConfIndiaもまた、その場でしか体験できないコミュニティの体験に溢れていました。渡印の際にeVisaを取得する必要がありその点が若干手間はありますが、2017年4月からは一定の条件を満たした日本国籍の方は到着時にその場でビザ発行もされる模様で移動に関する障壁は下がっている状態です。長期にお休みが取れそうな方は、インドの特にムンバイとバンガロールあたりも訪問先に加えてみても面白いかもしれないと思いましたので、最後に記しておきます。(RubyConfIndiaよりも採択率が低くなってしまうかもしれませんが、国内に居ながらにしてレベルの高いTalkと出会うことができるRubyKaigiのCFP提出は今月末までのようです。こちらももちろんオススメなことは言うまでもありません)
about me
@remore is a software engineer, weekend contrabassist, and occasional public speaker. Read more